『タンノイのエジンバラ』長嶋有

表題作ほか3作収録の短編集。
4作どれも非常に楽しめた。


どの作品にも流れるユルい空気が好きだ。長嶋有はきっといいひとなんだろうな、と思う。主人公がみなちょっと冷めた目でというか一歩下がったところからというか、まあそんな感じのポジションで世の中と相対しているところに著者のひととなりが窺える気がする。


ただ(ここで「ただ」を使うのは正しいのか?)勿体無いことに、この人の、作品につける題名のセンスはあまり良くないような気がする。
というわけで、以下各作品の感想と僕的にこっちのほうがいいんじゃないと思う題名。

隣りの家の女の子を預かる。女の子のキャラが絶妙だと思う。ふたりの間の微妙なんだか何なんだかわからない空気感がとても心地よかった。
題名は「プルートには彼女がいない」

  • 夜のあぐら

僕は3人兄弟の真ん中で、それぞれ2歳違いで姉と弟がいる。僕は特に姉に対しては文句ばかり言っているが(本当にある面ではどうしようもない人なのだ)、最近特に、ああ、兄弟はいいな、と思う。この作品もまあ、そんな感じ。
題名は「金庫を盗む」か「臼の敷石」

そういえば旅行で印象に残るのは、意外とちょっとしたささいな出来事だったりするよな、と気付かせてくれた作品。バルセロナの雰囲気も、意外と伝わってくる。一緒に旅行してる気分になった。この題名はこれしかないように思う。

  • 三十歳

この人の作品は、女性を主人公にもってきたものよりも、男性が主人公でまわりに魅力的な女性が配置されているほうが好きだ、どちらかというと。
題名は「屋上からみる町」か「ピアノの底板」


オレも相当センスないかも…。