『お母さんの恋人』 伊井直行
- 作者: 伊井直行
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2003/04/26
- メディア: 単行本
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「お母さんとお父さんが出会ったとき、お母さんは三十六歳だった。お母さんはわたしを産んだ後、三十八歳で亡くなった。」
冒頭のこの一文で始まる物語は、しかしながらこの一文で想像されるような(といってもどんな想像するかは個々人で違うとは思うが、少なくとも僕が想像したような)ストーリーとはまるでかけ離れたものだった。
とんでもない起伏があるわけでもなく、ある意味ふわふわした、それでいて部分的には妙にリアルなところもある掴みどころの無い作品ではあったけど、個人的には没頭して読みふけった、読書を楽しめた作品だった。
先日読んだ『ストーナー』もそうだったが、こういうまず最初に結果が伝えられていて、後は如何にその結果に辿り着くかを楽しむ作品が、僕はけっこう好きなのかもしれない。死ぬか生きるか・結ばれるか別れるかなんて結局作者の思い1つでどちらにも転ぶものだから、予め結果が提示されていることでそこに思いを巡らせる必要が無いのがいいのかもしれない。
(今更ですが)去年出逢った曲ベスト 邦楽篇
- おやすみホログラム 『too young』
おやすみホログラムは「ニューロマンサー」という曲のタイトルで(まんまと)引っかかって、現在ちょっと気になり中。
ニューロマンサーも悪くないけど、このtoo youngは最高に好き。シンプルで美しいメロディと、どこかeverything but the girl を思い起こさせる曲のアレンジがピタッと嵌まって凄い名曲になっている(気がする)。
- BiSH 『BiSH-星が瞬く夜に』
これもアイドルソングなんだけど(笑)、最高にカッコよくて直球ストレートな感じが大好き。
BiSHはボーカルにそれぞれ個性があって、聴いていて楽しい。
- Buck-Tick 『Once Upon a Time』
3年前に出たアルバムの1曲。去年出たアルバムの曲も、もうどれも洗練されまくってて大好きですが、去年はこういう元気出せよ!的な曲が心に刺さった1年だった気がする(別に辛いことがあったわけでもないが)。
- 岡村靖幸 『できるだけ純情でいたい』
- アーティスト: 岡村靖幸
- 出版社/メーカー: SPACE SHOWER MUSIC
- 発売日: 2016/01/27
- メディア: CD
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今までの岡村靖幸が正当に進化してきたうえでたどり着いた、ひとつの境地ともいえる1曲。
靖幸の新曲に、ここまで感動できる日がまた来るなんて!!!と多くのファンが思ったに違いない。
ひたすら渋い、カッコいい。
『Vincent』 Car Seat Headrest
去年出会った洋楽では、これが一番衝撃的だったかな。
ボーカルはいかにもオタク(Nerd!!)って感じで好印象。
久々にカッコいいロックを聴いた気がする。
- アーティスト: Car Seat Headrest
- 出版社/メーカー: Hostess Entertainment
- 発売日: 2016/07/20
- メディア: CD
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アルバムも購入しましたが、やっぱりこのVincentがいちばんいいかな。
でも他の曲どれもひとひねりあって、なかなか聴き応えあり。
Whale - Hobo Humpin Slobo Babe
もう20年以上前なのね…。
そういえば今日観たジャッキー・ブラウンも1997年の作品で、え、20年も前なの?と驚いた。
- アーティスト: Whale
- 出版社/メーカー: Virgin Records Us
- 発売日: 1995/08/01
- メディア: CD
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初めて聴いたときは衝撃的だったなー。
Buck-Tickのアマゾンレビュー欄がまるでボジョレーヌーボー評な件について
話は少し変わるけど、だいたい2年に一度発売されるB-Tのアルバム、リリースされる度にアマゾンのレビューをチェックしているが、レビュー欄がまるでボジョレーヌーボー評みたいで面白い。
まずは今回の『アトム 未来派 No.9』
- ここ最近のアルバムの中でも一番の快作
- 久々の傑作です。今までもいろんなタイプの作品をこのアーティストは作り続けてきましたが、その中でも久々といえる出来です。
『或いはアナーキー』(2014年)
- メメントモリ、ワンライフワンデスと肩を並べる出来か
『夢見る宇宙』(2012年)
- 25周年にぶつけてきた大問題作?!
- アニヴァーサリーでも守りに入る気のない意欲作
『RAZZLE DAZZLE』(2010年)
- 近年最高傑作
- BUCK-TICK史上最強アルバム!
『mement mori』(2009年)
- 18年ぶりに出会えた“代表作”
『天使のリボルバー』(2007年)
- まさに20年分の深み、旨みが濃縮されたかのような作品。
- 言葉では『語る術が無い』作品とはこのことだ。
まあ長く続けているアーティストのレビュー欄なんて、みんなこういう感じなんでしょうね。
『アトム 未来派 No.9』 Buck-Tick
- アーティスト: BUCK-TICK
- 出版社/メーカー: ビクターエンタテインメント
- 発売日: 2016/09/28
- メディア: CD
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2年前発売の前アルバムを購入した矢先ではあるが(というかこれの発売前に慌てて前作を購入したわけだが)、今回は発売日とほぼ同時に新作を購入。
今回は「ちょっと難解な作品」といえるのではないか。それだけに初めて聴いたときは同じ曲ばかり聴かされている印象を受け、アルバム全体を把握するまで少し時間を要した。
ここ最近の3作品(RAZZLE DAZZLE、夢見る宇宙、或いはアナーキー)で見られたポップさを意識的に排除し、より洗練・硬質化された曲が並ぶ。ポップな曲はシングルカットされた #13 NEW WORLDぐらい。あと、スパニュッシュ調というかラテン調というか、そういったメロディラインが多用されているのも今作の特色。
全体的に、凄い、凄いよ!!と絶賛するには至らないが、やはり前作より更に洗練された感はあるし、櫻井さんの妖艶なボーカルも健在で、まあいいんじゃないでしょうか。
お気に入りは、今井節の新境地と櫻井さんの妖艶ボイスが絶妙に絡み、ある種の神聖さすら漂う名曲 #1 「cum uh sol nu - フラスコの別種」、イントロからの出だしがメチャクチャカッコいい(そしてもちろんサビも最高にカッコいい) #3 「DEVIL'S WING」、今井版「真っ赤な太陽」(笑)の #8 「THE SEASIDE STORY」、久々の今井ボーカルで始まるアップビートチューン #9 「FUTURE SONG -未来が通る-」 など。