『淵の王』 舞城王太郎

淵の王

淵の王


そうそう、去年読んだ本でこれも衝撃的でした。すごい、すごいよ舞城王太郎

前作の『キミトピア』は新しさも感じたものの、ちょっとなんだか理屈っぽくて印象薄い感じだったけど、今回の淵の王を読んで、あれはいわゆる通過点だったんだなという気がする。

中編の連作三篇の構成で、全編を「背後霊的な存在」の視点から描くという、もう新発明と言ってもいいような表現方法。
しかもこの背後霊的な存在が、ただ描写するだけでなく読者と同じ立ち位置で感想を述べたり応援したりハラハラしたりして、とにかくこれが読んでて楽しい。

で、内容、第一章はキミトピアからの流れで同じような雰囲気のストーリーで始まる。

そして衝撃の第二章、不意に訪れる戦慄のホラー!! いやー怖かった。めっちゃ怖かった。二章を読み終えた深夜、本気でトイレに行くのが怖かった*1(笑)。しかも翌日、妻と話しているときに小説の中と同じように「えーと、そこのととととととと扉を」ってなってもうグググググルニエグルニエ状態!!(って読んでない人には何のことかわからない)

最終章では割とよくある舞城展開にはなるものの、それほどやりすぎない感じ*2で僕は良かったと思います。

   
    

*1:いやまあトイレまでの居間とか廊下とか全部電気つければいいんだけど、それはそれで大人げないじゃない?

*2:と言っても舞城作品に慣れ親しんでいない読者にはぶっ飛び過ぎとは思いますが