『天使のリボルバー』BUCK-TICK

天使のリボルバー

天使のリボルバー

新作がリリースされる度、いい意味でファンの期待を裏切ってくれていたものの、ちょっと迷走している感のあった前々作「Mona Lisa Overdrive」、こういう進化もあり得た『平行世界のB-T』とでも言うべき前作「十三階は月光」と、僕的には不満のあった2作に続く待望の新作。

先行シングルの2曲を聴いている分には、今回はいったいどんな方向性で来るのか全く予想がつかなかったが、この2作以前の「One Life, One Death」「極東 I LOVE YOU」の流れをしっかりくんだ、正統に進化したアルバムになっていると感じた。

全体的にアルバムとしてのバランスをかなり重視していると思われ、それでいて一曲々々の完成度も非常に高い。特に今作はデビューから現在に至るまでの様々な要素を絶妙に取り入れ、新しいかたちに再構築している感じを受けた。そういう意味でまさに集大成的アルバムといえるかもしれない。

しかし、その完成度故か、非常にシンプルな音になっており、いままでの作品に感じられた奇抜さや毒といったものは薄く、やや物足りなさを感じる人もいるかもしれない。が、しかし、それこそがB-Tが進化した証なのだと僕は思ったり思わなかったりする(どっちやねん)。

最近の2作は好きな曲だけピックアップして聴いている状態だったが、久々にアルバムとおして聴きたいと思える内容でとても満足。タイトルも痺れる。90点。