キ、キャサリンて、誰?! 「新しい太陽の書」4部作 ジーン・ウルフ

拷問者の影(新装版 新しい太陽の書1) (ハヤカワ文庫SF)

拷問者の影(新装版 新しい太陽の書1) (ハヤカワ文庫SF)

調停者の鉤爪(新装版 新しい太陽の書2) (ハヤカワ文庫SF)

調停者の鉤爪(新装版 新しい太陽の書2) (ハヤカワ文庫SF)

警士の剣(新装版 新しい太陽の書3) (ハヤカワ文庫SF)

警士の剣(新装版 新しい太陽の書3) (ハヤカワ文庫SF)

独裁者の城塞 新しい太陽の書 4 (ハヤカワ文庫SF)

独裁者の城塞 新しい太陽の書 4 (ハヤカワ文庫SF)

1ヵ月半ほどで、4部作読破。意外と早かったなー。


SFの要素をふんだんに盛り込んでいる(それも徐々にわかっていくような仕組みなのだけど)にもかかわらず、そのテイストはどこまでも中世ファンタジー


さすがは名作といわれるだけあって巧みに構成された世界観やストーリーも(ツッコミどころは無尽蔵にあるが)とても面白いのだけど、特筆すべきは拷問者(!!)である主人公セヴェリアン。
彼の、職種も含め一般的なヒーロー像とはかけ離れた人物造詣が素晴らしい。
基本的には常人離れしているのだけど、どうしようもなく俗っぽい部分や、強大な力の前ではあっさりとひれ伏してしまうところ、クールなふりして超女好きなところとか。
それらの要素のバランスが、絶妙だかなんなんだかよくわからないが、とにかく素晴らしい。


そしてなんといってもポイントは、この物語自体が『完全記憶の持ち主と豪語する主人公の回顧録』というかたちをとっていることだ。


4部作を全て読み終えて、というか最後の最後で何?キャサリンって誰やったっけ?!ってとこから始まって(いやもちろん他にもいっぱい疑問点はあるのだけど)、大森望の解説や彼が紹介しているサイトを見て、読んでいるあいだなんとなくスッキリしない気分にさせていた原因などがわかり、なるへそなるへそーと納得。

そういうわけで、ご他聞に漏れず僕も再読を余儀なくされるのであった。


これはまるで、いったんパズルを完成させたもののなんかスッキリしなくて、他の人の回答例を見ると、どうやらあちらこちらに間違いや抜けがあったことが判明し、仕方がないのでまた1からはめ込みやり直していくと、あーそうか、こうなってたのか、とうまくはめ込むごとに快感をおぼえる、って感じかな。「仕方がない」ってのは少し語弊があるかもしれないけれど。
   
    
妻に薦める度 : ★☆☆☆☆