『ケルベロス第五の首』

  

ケルベロス第五の首 (未来の文学)

ケルベロス第五の首 (未来の文学)

  
中篇3話収録されていると思ったら、3話で構成されたひとつの長編であることに、3話目読み出してやっと気付いた。
しかも、最近の作品だと思ったら割と古典なんですね。
      
舞台は遠未来の開拓惑星なのだけど、街や舞台となる屋敷の雰囲気はまるで中世ヨーロッパ。
そんな設定の中、アイデンティティとは何かを問う物語。派手さはない。基本的に地味。
  
面白かったかというと、微妙だ。
特に2話目、かなり難解だしストーリー自体も面白くない。
訳者もよくわからないまま訳しているとしか思えないほど、読んでてイメージが湧かない。
  
あと3話目は、あえて曖昧な感じにしてるんだろうけど、多分作者は曖昧にすることのみに重点をおいていて、実際のところどういう設定なのか自分でも決めかねたまま書いてしまいました。って感じがする。
   
ただ、あとがきが、この物語のある種の解説となっていて、これを読んで初めてああなるほど、と思えるところがあった。
たとえば1話目の構成とか、言われてみれば、なるほど確かにそのとおりだな、フムフム、という感覚。ということは、僕の読解力不足?
   
まあいろいろ書いたけど、記憶に残る一作ではあったと思います。
それって良かったってことなのかな?